この場所について
まずは教会を見てみましょう。Église Saint-Gervais-Saint-Protaisは、まるで2つの建物が1つになったような不思議な外観をしています。建物本体は中世後期から近世にかけて建てられたため、ゴシック様式の雰囲気が残っています。一方で、正面のファサードはパリでも初期のバロック様式を代表する堂々とした造りです。整然と並ぶ柱は古典建築の見本のようで、背後の古い石造りの部分と比べると、どこか演劇的な華やかさが感じられます。 少し近づいてみましょう。ここはセーヌ川右岸で最も古い教区の一つで、王室の華やかさよりも、パリの人々の日常に寄り添ってきました。内部は荘厳ながらも落ち着いた雰囲気で、特にオルガンの音色が響くと格別です。この教会はオルガンの伝統で知られ、フランス・バロック音楽の巨匠、Couperin家が代々オルガニストを務めました。扉が閉まっていても、都会の喧騒が消え、美しい音色が聖堂を満たす様子を想像してみてください。 ここには近代史の悲劇的な記憶も刻まれています。1918年3月29日の聖金曜日、礼拝中にドイツ軍の砲弾が直撃し、屋根が崩落して多くの犠牲者が出ました。それを知ると、目の前の静かな広場も、単なる穏やかな場所ではなく、歴史の重みを感じさせる場所に変わるはずです。 次に、隣にあるがっしりとした建物に目を向けてください。これはCaserne Napoléon(ナポレオン兵舎)で、1848年の動乱後の1850年代初頭に建てられました。ルイ・ナポレオン・ボナパルトは、Hôtel de Villeの近くに強力な軍事拠点を置こうと考えました。この兵舎は装飾よりも実用性を重視して設計されています。長年兵舎として使われてきましたが、現在はパリ市の行政機関が入っています。軍服から事務仕事へという変化も、パリらしい歴史の流れと言えるでしょう。 ここに立つと、対照的な2つの物語が見えてきます。片や数世紀にわたる信仰と芸術、音楽が息づく教会。片や統制と防衛のために建てられた19世紀の堅牢な建物。この広場は、パリがいかにして異なる時代を積み重ねてきたかを教えてくれます。